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「産んだ」責任と「誕生させた」責任

 父親の精子と母親の卵によって受精卵が出来上がり、それが細胞分裂を繰り返した結果として子供が生まれたという状況であれば、子供を「産んだ」のは母親であるが、「誕生させた」のは父親と母親(両親)である。
 そのため、子供を「産んだ」責任だけが取り沙汰され、母親だけが批判される状況があるとすれば、それは全くもって不公平である。子供が生まれたことに関してどの程度の責任があるのかは、子供を「誕生させた」ことに関して、父親と母親のどちらがその結果をより推奨したのかということを、周囲の圧力による影響などを含めて考える必要があるし、望まない妊娠をした場合であれば、母親は責任を問われる立場である以前に、まずは被害者である。
 そういった事情を踏まえていなければ、単なる思い込みによって批判しているだけということにもなりかねないわけである。しかもそれらの事情というのは、他者が容易に知り得ない場合も多いため、有意義な批判をするためには、それが抽象的であることが必要になる場合が多いであろう。