メニュー

誇らしげな妊婦について

 誇らしげな妊婦は少なくないが、妊娠しているということはまず性行為(セックス)をした証拠だと考えられるであろう。たとえ性行為(セックス)によらない妊娠であろうとも、多くの場合においてそういう見られ方をされるであろう。彼女らに対して性行為(セックス)をしたことを指摘すれば、性行為(セックス)をして当然だという人は別として、それが事実であっても隠蔽したいと考える人もいるはずである。そのような人までが、妊娠に関しては全く性行為(セックス)とは別物として考えている人がいるが、全くもって不可解である。
 また、性行為(セックス)をすること自体が当然だと考えている妊婦にしても、もし性行為(セックス)自体が目的だったのであれば、子供を誕生させる必要はなかったのであり、悪い言い方をすれば、中出しセックスをした結果として妊娠してしまい、仕方なく子供を誕生させたということであり、それを誇らしげにしているというのは全くもって不可解であるし、子供を誕生させるという使命によって性行為を行ったと考えて、いかにも素晴らしいことをしたとして誇らしげにしているのだとすれば、それは誰に頼まれたのか、あるいはそれが使命である根拠は何かと聞いてみたいものである。そうして出てくる言葉は全て「自己満足」あるいは「強制された」あるいはそれらの言い換えである。というのも、子供のために子供を誕生させるという言説は、当の子供が存在していない以上、全くもってナンセンスだからである。
 さらに「自己満足」あるいは「強制された」という理由によって子供を誕生させた妊婦の中には、誇らしげな表情をするばかりではなく、傲慢さも加わり、電車で優先席を譲ってもらって当然だと考えている人まで存在している。こういう人に対しては、妊婦だからと言って全く関係のない他者が入り混じる場所で特別扱いする理由は何かと聞いてみたいものである。このような意見については、子供を誕生させることは疑いの余地なく正しいという前提が極めて多くの人達に信じられていることが影響して反感を買う場合は少なくないのであろうが、そうした前提を排して考えてもらいたいものである。
 もしそうしないようであれば、こちらも子供を誕生させることがいかに非情な行為であるかを意識させるまでである。子供に頼まれたわけでもなく勝手な判断で誕生させ、最終的にその子供に「死」をも強制する「殺人者」が、威張り腐って特別扱いされようとするのを断じて許してはならない、といった具合である。
 ところで、とんでもなく誤解している人達のために付け加えるが、当然のことながら妊娠させた男はほとんどの場合妊婦よりも罪が重い。というのも、男が女に対して子供を誕生させることを推奨した、あるいは強要したのであれば、当然のことながら男がほぼ全面的に悪いと言ってよく、そうでなくとも、多くの場合において男は女が子供を誕生させることを拒否する力を持ち合わせているからである。